オール埼玉で世界と繋がれ ラグビーワールドカップ2019、2020東京オリンピック・パラリンピック
- 高野
- 2015年12月17日
- 読了時間: 5分

2015年11月30日、さいたま市浦和区のホテルで「2020オリンピック・パラリンピック/ラグビーワールドカップ2019埼玉県推進委員会設立記念イベント」が行われた。埼玉県も競技会場となる2つの大会の成功に向け、必要な活動を行うことを目的に、埼玉県をはじめ県内の市町村、競技団体、マスコミなどが勢ぞろいした。この大イベントを成功させようという強い想いが直に伝わってくるイベントとなった。
活動のキーワードは「オール埼玉」。埼玉県が一丸となり、4年後に控えたラグビーワールドカップ2019、そして5年後の2020東京オリンピック・パラリンピックを成功させ、世界とつながるための大会にしていく思いを込めた言葉だ。上田清司知事は「オール埼玉で一丸となって埼玉と世界が繋がる大会にしていきたい。ここに集まる若いアスリートの皆さんが、これからも世界の王者になるべく、大活躍できるような環境づくりをしっかりやっていかなければならない」と力強く宣言した。
イベントでは、全国大会で優勝した中高校生など「未来アスリート」の紹介が行われた。驚いたのは、その人数の多さだ。総勢129名の未来アスリート、大会などで出席できない人を除き、総勢114名が来場した。緊張した表情で席へと向かうその姿を周りの関係者たちが大きな拍手で迎える。私は、これからの埼玉県を担う大きな背中に思わず見とれ、メモをする手が止まるほどだった。
全員が着席するとVTRが始まり、1964年東京五輪の聖火リレーの様子やこれからの埼玉県の発展について映像で紹介された。大学二年の私は、1964年の様子を中学や高校時代に資料で何度も目にしたが、改めて見ると歴史ある大切なイベントなのだと再認識できた。そして、埼玉県がどれほどこの東京オリンピック・パラリンピックに熱い想いを寄せているかも伝わってきた。この興奮が5年後に再び訪れると考えると、楽しみでたまらない。
その後、ゲストが3名招待され登場した。1人目は、2012ロンドンオリンピックレスリング女子フリースタイル48kg級金メダリストの小原日登美さん。2人目は、2013パラアーチェリー世界選手権大会団体戦銅メダリストの平沢奈古さん。3人目は、2015ラグビーワールドカップ日本代表のホラニ龍コリニアシさんだ。
3人のゲストに、未来アスリートからさまざまな質問が飛んだ。山崎弥十朗さん(埼玉栄高校3年、レスリング)は小原さんに「オリンピック予選から本番まで、練習や調整でどんなことを重点に置いていましたか」と聞いた。それに対し、小原さんは「オリンピック代表選手になる、そして金メダルを獲るということを意識し、自分のライバルの相手になりそうな人物を探してその相手を想定して練習をした」と堂々たる返答。さすが一流選手、めげずにただひたすらオリンピックのことを念頭に入れ、過酷な練習を続ける姿が目に浮かぶ。時には笑い、時には涙を流すような青春ドラマもあったりするのだろうか。正直羨ましい。
新井望友さん(県立深谷高校3年、ラグビー部主将)はホラニ選手に質問。「12月から全国大会に臨むところですが、ホラニ選手は全国大会や国際試合で心掛けている事があれば教えてください」と聞くと、「花園(全国高校ラグビーフットボール大会の通称)に行くと決まってすごく喜んでいると思うが、花園に行ったからといって急激に強くなるわけではない。その期間に、今までやってきたことをどれだけ冷静に出せるかというのを心掛けている」と回答。また、「僕は高校の頃、風邪をひいて最終試合に出られなかったことがあるので、体調管理には気を付けて」と実体験を織り込みながらの話で会場を和ませた。一途に努力する気持ちも大事だが、人間は体が資本なのだ。健康でなければ試合にも出られず、努力も水の泡となる。高校生のホラニ選手はどんなに悔しい思いだったのだろうか。
丸山ひよりさん(県立浦和第一女子高校2年、卓球)は平沢選手に「アーチェリーを始めたきっかけと続けてきた秘訣は何ですか」と問いかける。平沢選手は「私は生まれた時から障害を持っていて運動は大嫌いだったが、姉に浦和の障害者交流センターに行こうと誘われ、そこでアーチェリーと出合った。思っていたより楽しかったのが始まり。続けられる秘訣はやはり、アーチェリーがとても好きだ、という気持ちだと思う」と明るく答えた。初めて体験したものを楽しいと感じ、10年以上もその気持ちを持ち続けられるのは、きっと簡単なことではないだろう。私も見習いたい。
最後に、知事を初めとする関係者、ゲスト3名、未来アスリートの全員で未来宣言をし、このイベントは幕を閉じた。

埼玉県民によるメッセージボード
たくさんの人の応援、抱負が貼り出されている
会場の外には埼玉県民によるメッセージボードが飾られていた。ラグビーワールドカップ2019や2020東京オリンピック・パラリンピックへの期待、2019年、2020年に向けた自分の夢や目標について書かれていた。「がんばれ日本」「優勝」「挑戦」などのメッセージが多く見られ、中には「世界一のラグビー選手になる」など意気込んだメッセージも。多くの子供たちの夢が膨らんでいるようだ。それもそのはず、世界三大スポーツイベントと言われている大会のうち2つが相前後して開催されるのだ。それも我らが故郷の埼玉県で。
そのすぐ側には金メダルの展示も行われていた。ガラスケースの中で光り輝くメダルには、日本の強さ、勝ちたいという想いが詰まっているのであろう。2020東京オリンピックでは4競技が、パラリンピックでは1競技が埼玉県で行われる。ラグビーワールドカップ2019では熊谷市が開催都市に選ばれ、熊谷ラグビー場をはじめとする全国12の会場で行われる予定だ。
全国各地で行われると思うと、応援する立場の我々も今から胸が高鳴る。4年後に迫り来るラグビーワールドカップ2019、そしてその翌年にやって来る2020東京オリンピック・パラリンピック、どちらにも目が離せない。
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